鵜匠
鵜匠(うしょう)とは、釣竿や網のかわりに水鳥である鵜を使用して、漁をおこなう人たちのこと。木船に乗った鵜匠の手縄につながれているのは、十数羽の鵜。そのくちばしで、水中からつぎつぎとアユを捕まえ、鵜匠のもとに運びます。日本の伝統的な漁法として、その歴史は千年以上も昔にまでさかのぼり、かつては鵜匠の漁法で獲ったアユは、瞬間的にショック死させられているために鮮度が高く、ほかの漁法でとったアユより高級品としてあつかわれていました。そのため、大名たちに親しまれ、鵜匠の存在も幕府などによって保護されていた時代もあります。しかし、けっして効率のいい漁法ではないため、明治以降の近代化の波のなかで数がへり、現在では全国で十数ヶ所しか鵜飼漁法をおこなっていません。なかでも全国的に有名なのは、岐阜県・長良川の鵜匠。こちらは宮内庁式部職鵜匠として重要無形民俗文化財に指定されており、伝統文化の保存と観光的な需要から、いまなお受けつがれています。
鵜匠と鵜は日頃から生活をともにしています。鵜匠にとっての釣竿ともいえる鵜の健康管理は、欠かすことができません。縄を結んでいる鵜の首を触ったり、羽のはばたき具合を見たりして鵜の体調を見きわめ、漁へ連れていくかどうかを判断します。また、鵜が寝泊りするカゴのなかを掃除したり、手縄などの道具の点検もおこないます。鵜匠と鵜の見事な連携技は、日常から積み重ねている信頼関係のうえになりたっているといえるでしょう。
鵜匠になるために特別な資格は必要ありません。場合によっては、市の職員が鵜匠をおこなったり、学生がアルバイトで手伝ったりするところすらもあります。しかし、正統派の鵜匠は、基本的には世襲制の世界。子どものころから鵜匠に親しんできた人が、親のあとをつぐというケースが多いようです。また、ほとんどの鵜匠が副業をすることによって生計を立てています。そのため、鵜の世話をしながら、別の仕事がおこなえる環境が望ましいといえるでしょう。
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